那須・旅・暮らし

那須に暮らす“おとな女子”のホンネ情報ブログ

ぼちぼちと那須暮らし、ヤモリを守宮と書き、ネズミに栖(ねぐら)を許すわが夫

この歳になると「人生いろいろだなぁ」と思うこともしばしば...。今日はちょっとプライベートなことを書こうと思います。

 

人生の転機は思い返すとわかるもの、「やってみよう!」ぼちぼちと...

歳をとっていてもいなくても、それまでの考え方を変えたり生き方を見直す「転機」みたいなものって誰にでもありますよね。

私も何度かそういうことがありました。

十数年前、親しい友人とまだ若かった従兄弟、長寿を全うした祖母を相次いで亡くした時がそうでした。

それまで大して深く考えず安穏と生きて来た私は、長生きしてもしなくても人生の終わりは自分にはコントロールできない大いなる力がはたらいている。逆らうことができないなら明日何が起っても後悔しないようにしようと、ドラマのセリフみたいなことを本気で思いました。

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3年前に夫ががんになったことも転機となりました。

夫のがんは下咽頭と食道。見つかった時はリンパ節にも転移した進行がん(T4aN1M0)で、いわゆるステージⅣでした。

2015年5月下旬、下咽頭咽頭・食道を全抜去、無くなった食道の代わりに胃の一部を切って食道を形成して繋げるという14時間に及ぶ手術をしました。術後は鼻でなく永久気管孔といって喉元にあけた穴から直接息をするようになり、声帯も無くなったので声を失いました。抗がん剤放射線の治療もあってこの時の入院は通算で120日を超え、その間に愛犬を亡くしたりで本人は相当辛かっただろうと思います。

また、退院した1年後には肺に転移が見つかり、こちらも手術。幸いに肺のがんは小さく開胸せずに胸腔鏡手術で済みましたが、また抗がん剤の治療が一年続きました。今年に入り抗がん剤が終了し、半年たってようやく薬の副作用も無くなったようで今はこれまでで一番穏やかに過ごしています。

病気だからといって寝たきりという訳ではありません。私が会社を辞めるまで毎日お弁当を作ってくれました。洗濯や掃除、調子の良い時は草刈り(少しずつだけど)なんかもしてくれます。外見も普通、道で会えば病気と分からないくらいです。こうした日々を闘病とか療養と呼ぶのはどうかな...と思いますが、他に何と言って人に説明したらよいか分からないので、夫のことを聞かれると「病気療養中です」と言うことにしています。

 

私は、それまでは仕事ばかりの毎日でしたが(震災後の観光振興事業に携わって忙殺されれることも多く)、夫の退院を機に出来るだけ休みを取るようにしました。実際、退院後すぐはひとりで通院することが難しかったのですが、病院通い以外のことも一緒にすることを増やそうと思ったからです。(もちろん若かりし頃は何でも一緒だったけど、だんだん結婚生活が永くなるとお互い空気みたいな存在になると言うではないですか)

改めて意識して過ごすと、また一緒にいろいろ見たり感じたり、たくさん話したり出来るようになるものだなぁと思いました。好みは同じとは限りませんけどね!

ちなみに、これまで一緒に出掛けた先のお気に入りは、茨城県大洗町の「アクアワールド大洗水族館」と福島県柳津町にある「斎藤清美術館」など。那須だと春の「八幡つつじ園地」かなぁ。

 

こうして今は穏やかに過ごす毎日ですが、最近、このままでいいの?...何か行動しなくちゃなんじゃないの...と考え始めました。私が会社を辞めた理由のひとつがそれです。

人生100年とは言わないけど、運良くまだまだ人生あるとしたら、小さいことでも何かした方がいいに決まってる。ひとりで無理ならふたりでならやれるかな...と。

結論は全然出ていません。ゆっくり考えてみようと思っています。

「やりたいと思ったことはやった方がいい」これは私のポリシーですが、そんなにアグレッシブではありません。やろうとしたって思うようにならないことも多いですから。

何事もぼちぼちと...。思考はいつも行ったり来たりです。

 

会話の手段は磁気メモボード、こえとらアプリ、そして...

声を無くした夫との会話は磁気メモボードと「こえとら」というアプリを使っています。

磁気メモボードは通販で買いました。最初は普通のペンを使うホワイトボードを使っていたのですが、ペンで書いたものをいちいちティッシュペーパーで消すのが面倒で手が汚れることも多くてストレスを感じました。いろいろ探して磁気メモボードを見つけてからは、そうしたことがありません。家の中での会話は、ほぼこれを使います。

「こえとら」は聴覚障害者と健聴者がスムーズに会話できるように開発されたアプリですが、打ち込んだ文字を音声再生してくれます。書いたものを見なくて済むので、ウチでは主に車の中で私が運転している時に使っています。離れた部屋からも「こえとら」に呼ばれます。

NICT こえとらアプリサポートページ

 

夫はグラフィックデザインやイラストの仕事をしていたせいか、私とものの見方が全く違います。

例えば、

以前からウチの天井裏には度々ネズミが入ってトトトトト...と走り回るのですが、昨夜も微かにきしんで走る音がしたので夫にそのことを告げると、今朝一枚の紙を差し出して来ました。

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天井裏のネズミの足音を聞いて与謝野晶子の詩を書き写して来るとは!!

これは、そのままネズミにねぐらを提供せよということ?(そこまで言わなくても、気にするな、ということですね)

声を失った夫は時々こういうことをします。メモボードやアプリでは話し言葉を全部書くことは難しく単調になってしまう上、声の調子や響きなどで気持ちを伝えることができない分、こんな手段を用いているのでしょうか。(私には意味が分からないことも多く、話しを進めるのに時間がかかることも...)

 

また、

この夏、夜になると玄関の窓にヤモリが現れます。7月からだから、もう2ヶ月。雨や風が強い日には来ませんが、それ以外は毎日律儀に夜7時ごろにやって来て9時ごろにいなくなります。どうもそこが餌場になっているようです。

最初はヤモリのことを「やっちい」と呼んで(書いて)いた夫が、近頃では「守宮」と書きます。

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Google先生でヤモリを調べると「家守」や「守宮」と出ていて、家を守る守り神、縁起の良い生き物で金運もアップさせてくれると書いてある。ウチのヤモリは窓ガラス越しにピンクのお腹をぷくぷくと動かして、結構かわいい。家を守って金運もアップするなら「守宮」と呼ぼう、ということで私も賛成!

(^^)ちょっと楽しい毎日です。

 

家族の病気のこと、これからのこと 

家族の病気のことなんてブログに書いていいの?と思う人もいるかと思います。

私は夫ががんだと分かった時にネットでいろいろ調べて、同じような経験をしている人のブログや医療関係の記録などをたくさん読みました。いろいろなことが出ていたので怖くなることもありましたが、ずいぶん参考にさせていただきました。

今後同じような経験をする人がいたら、今度は伝えたいと思っていました。穏やかに過ごせるようになり生活もちょっと変化したので、思い切って書くことにしました。この行為が自分にとってマイナスではなくプラスに作用するように、これからを過ごして行きたいと思っています。